「ナンナーク」

タイに伝わる怖いお話し


  

今、アジアの映画が元気だ。香港の映画は続々と公開されているし(ちょっと偏りはあるけどね)、大陸(中国)、台湾の作品もしかり(このところ台湾の新作は無いけど)。「八月のクリスマス」や「シュリ」以来、韓国の映画もどんどん上映されている。ボクは全然観ていないけど、インドの作品も多かったですね。
さらに、ここ半年に続けて公開されているのが、タイの映画だ。「69(Sixtynine)」に続いて、「アタックナンバーハーフ」、そしてこの日観た「ナンナーク」。
ボクにとっては嬉しい限りです。そりゃ、中にはどうしようもない映画もあるのですが、アメリカの映画には無いアジアならではの作品も多いですよ。皆さんも是非ご覧下さい。

会場は新梅田シティのシネリーブル。水曜日のレディスデイだったので、公開最終週にもかかわらず、7分程度の入りで盛況でした。

ポスターやチラシ、そして上映されていた予告編などには一切触れられていなかったけれど、この映画は間違いなく「怪談」。
美しい夫婦愛を描いているのは間違いはないけど、物語の中心はちょっと猟奇的なお話になっている。

物語は19世紀の中頃、タイの川沿いにある美しい水辺の村。仲睦まじい若い夫婦に召集令状が来た。身ごもっている妻が、夫を見送るところからこの物語は始まる。激しい戦闘に巻き込まれた夫は重傷を負いながらも九死に一生を得る。傷が癒えた彼は数ヶ月後に妻が待つ村に帰郷する。
でも、妻は、夫が戦場で生死の境をさまよっているちょうどその時、難産のために、赤ん坊と共に命を失っていたのだった。
そんなことを知らない夫は故郷に帰り着き、彼の帰りを待ちわびていた最愛の妻と赤ん坊を抱き上げ束の間の幸せに浸る。

主演している妻役の女優さんは「69」でも主演していた、背が高くてスリムな人で、最近観た香港映画の「ファーターズ・ブルース」にも出演してました。
色気を感じさせる訳ではないのですが、シリアスな役もコメディタッチな役もこなせるいい女優さんですね。

以前は、映画を観ると「テヘランに行ってみたい」とか「ベルリンで住みたい」とか思ったものですが、この日は久々に「タイの田舎に行ってみたいなぁ」と思いました。まっ、実際は暑くて、蚊や虫がいたり、大きいトカゲがうようよしていたりで、映画で観ているだけとは大違いなんでしょうけどね。

あんまり後味が良くない作品ですが、タイが好きな方はもちろん、そうでない人もお時間が有ればご覧下さい。と言っても、もう上映は終わってしまったけどね。
もう少し話を整理して、映画の力点を夫婦愛に置くともっといい「おはなし」になったと思うんですけどね。いまのままやったら「タイに伝わる怖い話し」で終わってしまいますよ。

おしまい。