「變臉」

胸を打つ人間模様


  

ゴールデンウィークを前にして、ここ2、3日はちょっと寒いですね。もうしまっといたフリースをタンスから取り出してまた着ています。
今は落ち葉の季節。「落ち葉」というと「秋」を思い浮かべる人がほとんどでしょうが、常緑樹が葉を落とすのは、まぶしい新芽が吹き出すこの「春」。冬の寒風に耐えてきた葉が、新芽と入れ替わりに落ちていく。からからと音を立てて春風に舞っています。

トニー・レオンを観た後に向かったのは神戸・新開地にあるパルシネマ。ここは昔あった大毎地下なんかと同じにおいがします。今回が2回目ですが、いつもそこそこお客さんが入っている、今日も50人ほどの入り。出し物は「變臉」と「宗家の三姉妹」の二本立て。「變臉」は去年シネ・ヌーヴォでやった「中国映画の全貌」で一度観ています。

いい映画は二度観てもいいね。初めて観るときはストーリーを追うのに一生懸命だけど、二度目は話は頭の中に入っているからじっくり観ることが出来ます。どうしてクーワーが舞台の屋根から縄で足をくくって飛び降りることを思いついたのか、今日初めて判りました。
一見すると男尊女卑の風習が色濃く残る古い中国のお話のように思えるけど、本当は色濃い人間の愛情を表現したヒューマンドラマです(そんなん言わんでも分かるか)。主演の変面王は「大地の子」(NHKのテレビドラマ)にも出ていた朱旭。この変面王がいい。そしてクーワー、アジアの映画に名子役の存在ははずせません。人観音もいい味出してます。
話の中盤にある、火事で舟が焼けてしまうまでのテンポのいい語り口が、変面王が誤認逮捕されてからの後半にかけてはなんか少し緩いテンポになってしまうのがちょっと残念。でも、そんなことは関係ナシに、やっぱり泣ける。
クーワーのいつも何かに怯えているような、それでいて大人の顔色を常に伺っている狡猾そうな視線。豊かな変面王の表情。どれを取っても素晴らしい映画です。
次はいつどこで上映されるかわかりませんが、チャンスがあれば是非ご覧下さい。安心して、楽しめて、ほろっとさせられる感動作ですよ。

予告編で「グリーン・ディステニー」「初恋のきた道」をやってくれて嬉しかった。
「初恋のきた道」のチャン・ツィイーはやっぱりむちゃくちゃかわいいなぁ。

おしまい。