「武士(ムサ)」

豪華メンバーのチャンバラ・ムービー


  

中国大陸の大自然を舞台に、高麗と元と明が入り乱れての一大チャンバラ・ムービーだ。
合戦のシーンはもちろん力が入っているし、明のお姫様(この役がチャン・ツィイーなのね)を巡る三角関係あり、様々な人間関係のなかで若き悲運の将軍が成長していく(?)濃厚な人間ドラマでもあります。
でも、文芸作品ではなく、あくまでも娯楽大作。出演者も豪華で、前評判も高かっただけに、いろいろとご不満がおありの方もいらっしゃるようですが、ボクは充分楽しめたし、面白かった。是非もう一度観たいと思いました。

高麗が明へ送った使節団は、両国の関係のもつれから不毛の砂漠の地へ流刑の身となる。そんな彼らの前に明のお姫様を略奪してきた元の軍勢が現れる。囚われの見になっているお姫様からのSOSを受け取った将軍は、高麗への帰還を変更して、姫を奪取し彼女を南京まで送り届けることを決意する。
姫の奪還に成功した彼らは南京へ向けて旅を続けるが、元の追っ手が迫ってくる!

何度も繰り返される戦い、凄い迫力。
でも、日本のチャンバラ同様、チェ・ジンモ演じる高麗軍は連戦連勝。クライマックスまでチェ・ジンモもチョン・ウソンもアン・ソンギも決して傷つかない。原野を何日もウロウロしているのに、チャン・ツィイーが着ている服はいつも綺麗だ。
それにしても、チャン・ツィイーの役は「得な役」ではないな。わがままで気が強い。一歩間違うと、観客からも反感を買ってしまう「損な役」だ。それでも超然としてツンとすました彼女はなかなか美しい。「ラッシュアワー2」よりは断然いいけど「初恋のきた道」には及ばないし「グリーン・ディステニー」のときのような初々しさもないけどね。

若さ故に将軍という自分の立場に苦悩するチェ・ジンモ。自らの主人を亡くし奴隷の身分から解放され、ニヒルに大活躍するチョン・ウソン。立場の違いからいつも控えめだが万事に抜け目が無く最後まで冷静なアン・ソンギ。そして、独特なカットのヒゲが印象的な元軍の大将。これらの闘う男たちが、とにかくかっこよく美しい。彼等を前にするとチャン・ツィイーの美しさもかすみがちです。
チェ・ジンモに使える忠実な副官(そのまま「猿の惑星」に出られそうな気もしますが...)もいい味出してます。また、「リメンバー・ミー」でキム・ハヌルが憧れる先輩役をしていたパク・ヨンウがちょっと頼りない通訳官で出演しています。

お話をここまで膨らませておいて、いったいどうケリをつけるのかと心配していたら、エンディングには「?」が何個も並んでしまう。この後、チャン・ツィイーは一体どうなるの?

この「武士/ムサ」は11/18から始まった「TOKYO FILMeX 2001」の招待作品でしかもオープニング上映でした。韓国でも9月に公開されたばかりの作品を日本にいながらにして観られるのは幸せ。
会場は有楽町朝日ホール。630名ほど入れるホールはほぼ満席。僅かながら当日券もでていたようですが、チケットは早くから売り切れだったのも頷けますね。ボクはこのあたりに東京出張があるはずだ!と発売と同時に買いました。客層は割と濃い韓国映画ファンの方が多かったような気がします、多くの女性はチョン・ウソンのファンだったようですが。
上映時間が2時間半を少し回る大作。でも上映中には時間の長さは全く気になりませんでした、むしろ短く感じたぐらいでした。
上映には英語字幕付きのフィルムが使われ、別に用意されたスクリーンに日本語の字幕が上映されるという形式でした。途中で慣れたけど、同時に二つのスクリーンを観るのは難しく、また字幕が出るタイミングと台詞のタイミングが合っていなくて、ちょっとわかりにくいと感じました。前方の端っこの席に座った人には日本語字幕が読みにくかったでしょうね。

この日は監督さんとプロディユーサー、そしてチョン・ウソンが舞台挨拶に来ていました。上映前に舞台挨拶があり、その後、僕らと一緒に映画を観たのにはちょっと驚いたけど、いいことだなぁと思いました。
上映開始直後にフィルムを間違えてしまったのはご愛嬌ですかね。

おしまい。