「不思議惑星キン・ザ・ザ」

‘クー’は強烈!


  

なんとも形容し難い映画を観た。

面白さで言えば「今年一番」かもしれない。
面白いのは、面白いんだけど、かっこいいところは全然なくて、なんとも締まらない、ズッコケた面白さがある不思議な映画だ。

モスクワに住む中年の技師・マシコフは、奥さんに買い物を頼まれて街に出掛ける。そこで見知らぬグルジア人の青年に話しかけられる。
「あそこにいる人が、どこか別の星から来て、帰れなくなって困っている、と言っています」
怪訝に思った彼は、青年が指さす男を見た。そこに立っているのはボロをまとった物乞いのようなおっさんだ。
彼が話しかけるとこのおっさんは「この瞬間異動装置が壊れてしまった」などと訳が分からないことを言い始める。
「じゃぁ、俺がこのボタンを押すよ」といい彼はおっさんの持つタバコの箱ほどの大きさしかない装置のボタンを押してしまった。

その瞬間。
マシコフと青年は見たこともない砂漠にポツンっと立っていた。

二人は瞬間的に、あのボロをまとったおっさんの故郷、惑星ギン・ザ・ザへ瞬間異動してしまったのだ。
そこへ空からやって来たのはお寺にある釣り鐘型の飛行船(?!)。この飛行船が着陸して降りてきたのは、またもや、ボロをまとったのっぽとデブのコンビだ。二人はいきなりヘンテコなポーズを取り「クー」っと叫ぶんだ!

この惑星にあるモノは、みんなオンボロで、ヘンテコなものばかり。地球の科学を遙かに超えた技術もあるんだけど、外見が洗練されてなくて(もっささの極みやね)、薄汚れていて、それらがそんな凄いものには全く「見えない」。
また、こんなに進んだ技術を持っているのにマッチが異常に貴重品扱いされている。なにしろ「マッチ命」の連中なのだ。マッチをたくさん持っていると黄色いズボンを穿くことが許されて、社会的地位もぐっと上がるんだ。
そして、不思議な習慣と、奇妙な人種差別。これって、共産主義当時のソビエトの社会を風刺しているのかと勘ぐりたくもなる。

果たして、二人は無事に地球に帰れるのかな?
抱腹絶倒! 何度も声を出して笑ってしまいました。
情けなさを増幅させるような音楽も良かったですね、サントラ売ってるのかな? 欲しくないけど。

火曜日(11/6)にテアトル梅田で観ました。今週の金曜日までモーニングショーのみで上映しています。お時間が許す方は是非ご覧下さい。二重丸のオススメです。近いうちに京都か神戸で上映されるかもしれません。

旧ソ連のグルジア共和国で1986年に作られた何とも言えない奇妙なこの映画。一緒に観に行ったのは最近この通信の熱心な(?)読者になってくれたK企画のかっちゃん(かっちゃんは、次回は映画の後に一杯やりましょう!)。
40〜50名ほどの入りで、いい感じですね。このテアトル梅田の場合、火曜日は「メンズ・デー」になっていて男性は当日1,000円で入場出来るのです。このサービスは扇町のミュージアムスクエアでも行われています(ここは水曜が男性割引の日です)。もっと他の映画館にも広がらないかな。

おしまい。