「魚と寝る女」

痛い、痛い、痛い!


  

同じ日(11/4・日)に、梅田のテアトルで韓国映画をもう一丁。タイトルは「魚と寝る女」。ちょっと怪しげなタイトルでしょ。実際になかなか衝撃的な映画なのです。

一月ほど前に観たトルコの「エレベーター」という映画は、女が懲らしめてやろういう目的で、男を誘いだしてエレベーターに閉じこめる設定だった。この「魚と寝る女」も、ある意味で男を軟禁状態にする映画だ。

舞台は湖。この湖の畔で、若い女(ソ・ジョン)がひとり商売を営んでいる。この商売は、湖に浮かべてある小屋付きの筏に釣り客をボートで運ぶことだ。その他にもボートで筏を巡って、コーヒーや食事、釣り道具なども売るし、客の求めに応じて身体も売る。
客は一人で来る者もいれば数人のグループもある。昼間だけで帰る客もいれば筏の上で一夜を明かすことも、数日に渡って留まる客もいる。
筏に四畳半ほどの小屋が付いているところがミソ。こういうのを日本でしても結構流行るんとちゃうかなぁ。どういう料金システムになっているのか興味があります。

この湖に男(キム・ユソク)がやって来た。釣りをする道具を持ってはいるが、どういう理由か分からないが(その理由を説明する描写もあるのだがひどく不親切で良く分からない)拳銃で自殺しようと思っているようだ。でも、死にきれず、おまけに拳銃を湖に落としてしまう。その後は、釣りをするよりも針金を折り曲げてアクセサリーを作ったり、小屋で昼寝をしたり...。そんな男に女は興味を持つ。

女には一言も台詞がない。言葉がしゃべれないわけではない。彼女が電話をかけている姿をガラス戸越しに撮ったシーンがある。
全てが、身振りと表情だけで表現されている。高い演技力が要求される役柄だ。

偶然出逢った男女が恋に落ちる。それだけなら良くあるお話しで終わってしまうが、この映画では女の方の愛情表現の仕方がちょっと変わっている。変わっているのでなく、異常だ。
男の方は最初は、女をそんなに気に掛けていたわけではないが、徐々に引き寄せられていく。そして、最後には女の虜(?)になってしまう男の姿はなんとも言えず意味深でありながら滑稽でもあります。

チャン・ハンソン(「反則王」でジムの館長、「カル」でハン・ソキュウの相棒の刑事」)が釣りに来るスケベオヤジの役で出ています。彼も「猟奇的」な部分があります。
生理的に「痛いのは苦手」という方にはオススメできませんが、ちょっと変わった映画を観たいという方は是非ご覧いただきたい。
もうしばらく、ロフト地下のテアトル梅田で公開中です。ここではお土産に「タッカルビの素」をもらいました。ありがとう。

おしまい。