「純愛譜−じゅんあいふ−」 |
ソウルのオタクと東京の自殺願望者 |
どうして「純愛譜」というタイトルがつけられたのか良く分からない。
この映画の凄いところは、男臭くてカッコイイ、二枚目路線のイ・ジョンジェが情けないオタク風の青年を演じているところだ。彼は区役所の出張所のような所に勤める公務員。この出張所が凄い、管理職以外は皆まったくヤル気がなく、ひたすら9時から5時までダラダラ時間を過ごしているだけだ。中にはデスクに突っ伏して眠っているモノもいる。もちろんウイン(イ・ジョンジェ)もその一員。こんな職場と毎日に彼は嫌気がさしている。ヤル気もまったくない。併設されている文化教室で助手をしている女の子に好意を持っているが、彼女には全く相手にされない。
この朝子がもう一人の主人公。東京に住む彩(橘実里)は予備校生。彼女がどうして死にたいと思うようになったのか全く理解できないが、「日付変更線の上で死ぬ」という願いを持っている。予備校を辞め、アラスカへ行く飛行機代を貯めるためにアルバイトを始める。彼女の家庭が面白い。最近よく見かける大杉漣が父親だ。登場シーンは少ないが存在感があるねぇ(役上では影の薄いオヤジなんだけど...)。
こんな二人がアラスカの空港で出逢うまでを、ソウルと東京での二人の姿を追いながら進んでいく。二人のそれぞれの日常が丁寧に描かれている割には、妙に生活感がない。だからなのか、観ている側は主人公に感情移入できない。
動物園前のシネフェスタで、11/3が初日で公開中。ボクのような韓国映画は取り敢えず観るという人か、イ・ジョンジェや新人・橘実里が大好きという人以外はあんまり観てもしゃーない作品かもね。 おしまい。 |