「エレベーター」

女が男を監禁すると...。


  

エレベーターに閉じこめられてしまうことは、さほど珍しくない(?)。今年観た映画にも「ダブルス」という、強盗に入ったビルでエレベーターに閉じこめられてしまうなかなか面白い日本映画もあったくらいだもんね。
今回観たのは、その名も「エレベーター」というタイトルが付いたトルコの映画。トルコの作品を観るのは初めて。会場は扇町のミュージアムスクエア。レイトショーのみの公開だったにもかかわらず、20名ほどの入りで、ちょっとびっくりした。

舞台になるエレベーターは、今時の密封型(?)のエレベーターではなく、昔の毎日新聞大阪本社にあったような(この例で、いったい何人の人が分かるのか疑問だけど)文字通り鉄の檻のようなカゴが上下する古めかしいエレベーターだ。だから、エレベーターの中から外が丸見えだし、その逆も然り。今風に言うと「オープンエァでシースルー」なのね。
取り壊し寸前の廃墟のような古いアパートメントにあるこのエレベーターに不幸にして閉じこめられてしまった人気テレビ・キャスターと彼をここまで誘いだしてまんまと監禁(?)する事に成功した謎の美女のお話し。
この謎の美女がとぞっとするような美人でセクシーだ。なんか彼女をみているだけでゾクゾクしてくるね。

美しい装飾で飾られたエレベーターの檻越しの、この二人のやりとりがなかなか面白い。
男は一刻も早く外に出たくて、修理を呼んでくれと女に懇願し、それが聞き入れられないと知ると「訴えてやる!」とわめく。

「どんな理由で訴えるの?」
「アナタが勝手に自分でこのエレベーターに乗ったんでしょ」
「私の方こそ訴えてやる。頼んでもいないのに勝手に人の玄関先に何日も居座って!」

男が閉じこめられて4日間。その間、女から食事や飲み物、着替えにひげ剃り、テレビそしてオマルまでも差し入れられる。
やがて、彼女が何故このテレビ・キャスターの男をエレベーターに閉じこめたのかが、だんだん判ってくる。
ここがこの映画の最大のクライマックスであるはずなんだけど、このあたりからこのお話しが急速に魅力を無くしていく。今まで盛り上がっていた気持ちが急に萎えてしまう。

惜しいなぁ、全く惜しい!

男が女を監禁すると、突っ走っていく方向はひとつなんだけど、その逆で女が男を監禁するとけっこう面白い。
だから余計に惜しいなぁ!

残念ながら上映は10/19で終了してしまいました。

おしまい。