「ハンネス、列車の旅」

のんびりと、列車の旅も、それなりにいいかも


  

9月に氷ノ山に登った時は「秋の訪れ」を感じましたが、4週間後に氷ノ山の北にある「扇ノ山」に登ってみると「冬がそこまで来てるのね」という感じでした。寒い、寒い。
朝、3時に自宅をクルマで出発して、登山口に到着は6時。準備体操もそこそこにすぐ歩き始めました。山頂まで約3時間半のコースですが、最初の1時間が高度をかせぐ取り付きで、もっともしんどい。たっぷり汗をかきました。後は高原の小径をそぞろ歩く風情で、とても気持ちいいコースです。ほとんどがブナの杜ですが、途中にアカマツ混じりの林があるのね。登山道のあちこちにいろんなキノコが顔を出していて、アカマツを見かけるとついつい歩みを停めて熱心に周囲に目を走らせます。「ないよナ〜」「でも、ひょっとしたら」なんて思いながら。でも結局マツタケには巡り会えませんでした。阪神間は「日本晴れ」(「アメリカ晴れ」や「中国晴れ」ってどんなんだ!?)だったそうですが、日本海側は生憎の天気。特に山頂付近は周囲にミルクを流したような濃いキリに覆われていて、残念というか、幻想的というか。そのキリの中で水を沸かしてお約束のシーフードヌードルをおいしくいただきました。
帰り道は別のルートを取ろうと思っていたのですが、このキリのなか迷うのも怖いし、登ってきた道を戻りました。もちろん、帰り道でもマツタケの姿は見かけられませんでした。静かでいい山です。でも、折角登ったのですから、日本海も見たかった。次回はピーカンのいい天気の日にチャレンジしたいですね。
美術部オークションの当日なのに、山へ遊びに行ってすいません。私が遊んでいる間に働いて下さったワタナベさん、白瀬さんを初めとするアルバイトのみなさん「ありがとうございました」!

で、ご紹介する映画は「ハンネス、列車の旅」。ドイツの作品。「ラン・ローラ・ラン」や「ノッキングオンザヘブンズドア」などこのところドイツ映画もよく公開されていますね。そのどれもが面白かったので、今回の「ハンネス...」も期待大です。
結局、おもしろいんやけどどこか「ぬるい」映画で、もうちょっと締まりが欲しかった。でも、1時間40分ほどの上映時間がほんとにあっと言う間でした。だから、それなりに面白かったってことかな。どうして「ぬるい」のかと考えてみたら、主人公のハンネスも、ヒロインのシルパも美男美女っちゅうわけやなくて、どっちかと言うと「さえない」からなのかなぁ。ほんまにどこにでもいそうなさえんへん中年なんです。その分、感情移入が容易かというと、そうじゃなくて、どこか醒めた目で二人のフィンランド行きを見てしまうのね。

鉄道マニアでビール運搬会社に勤めているハンネスは、今日からの休暇で、フィンランドのイナリという街で開かれる「列車時刻表国際大会」へ出場することを楽しみにしている。が、会社へ行くといきなり「休暇を取るならクビだ!」と宣告されてしまう。(かわいそうに!!)。怒ったハンネスは上司を殴り倒して、列車に飛び乗る。ドイツのハンブルクからイナリへの旅の始まりだ。ハンネスを乗せた列車がホームを離れる頃、会社では、上司がオフィスで死んでいるのが発見される。ハンネスは上司殺しの重要被疑者として警察から追われることになってしまったのだ。イナリに着くまで、列車やフェリーを乗り継ぎ、その中でハンネスはいろんな出逢いをし、恋をする。スピード優先の飛行機や新幹線の旅では決して味わうことのできない「旅情」をハンネスは初めて知り、映画を観ている私たちは「想い出す」。私は子供の頃、父親と郷里の丹後へ向かう汽車の中で、ボックス席の向かい側に座っていたオッチャンから、冷凍ミカンと鮎の姿寿司を一切れ貰ったことを「想い出」しました。来年のリフレッシュ休暇は飛行機や新幹線を使わずに九州か北海道に行こうかな、なんて思いながら映画館を後にしました。でも、フィンランドに白夜やオーロラを見に行くのもいいなぁ。

この映画はとうの昔に上映が終了しています。もし、観たい人はビデオになるまで待って下さい。でも、この映画ビデオになるのかな?

おしまい。