「榕樹(ガジュマル)の丘へ」

中国でも、日本と同じように「親子」は永遠のテーマなのね


  

1ビルの北側にモモの花がひっそりと満開です。サクラにくらべると、ほっそりとした花弁が可憐ですよ。もう春ですね。

さて、月曜にようやくジジちゃんの「君のいた永遠」を観たのに続いて、昨夜の火曜日も行って来ました。会場は九条の「シネ・ヌーヴォー」。観客は12名でいつもの感じですね。ひょっとしたら俺だけかもしれへんな、なんて思っていただけにほっとしました。西灘劇場にもガンバっていただきたいモノです。

今回は「榕樹(ガジュマル)の丘へ」。97年の中国映画。
ちょっと、身につまされるような親子の話です。都会の片隅に独りで住む年老いた母親アーシーは、一人息子のトンと一緒に住むのが夢。しかし、トンは商売を始めたばかりなのと、しっくり行かない嫁姑の間柄もあって同居する考えはない。トンは母親のためにお手伝いさんを雇うが、気の強いアーシーに手を焼いて誰も長続きしない。そして、次にアーシーの世話をするのは、魚屋で働く若い娘シャン。彼女は1年ほど前に故郷から広州へ出稼ぎにやってきたのだ。シャンはアーシーと何度か衝突と和解を繰り返しながら、持ち前の明るさで打ち解けていく。喘息の発作で倒れ入院したアーシーは友人の勧めを受け入れ、老人ホームへ入所することを決意する。ラストで入所するために片付けられた部屋でトンとアーシーが、写真や賞状を見ながら昔話をするシーンが印象的です。
ありがちなホームドラマで、舞台が中国・広州でなくて大阪でも充分通用しそうなだけに、ふとわが身を振り返ってみたりもします。

中文の原題は「安居」。ある日、死んだ夫の夢を見、汽車に揺られてシャンと共に故郷に帰るアーシーだが、何十年ぶりかの故郷はすっかり様子が変わっていて「ここも私の『安居』ではない」と肩を落として、朝靄の道をシャンと二人で歩く姿も悲しいですね。
この映画の見どころは、なんと言ってもアーシーの存在感ですよね。寂しいけれど人には見せず、毒づいたり、怒ったりして、友人に「あなたはちょっと他人に厳しすぎる」なんてぼやかれてしまう。でも息子から電話がかかってくると嬉しそうなデレっとした顔になる。「あんたなんか出ていってしまえ!」と怒鳴られて、涙をぼろぼろ流して部屋から出ていくシャン(この子もなかなか初々しくて好!)もいいけど、友人を見舞いに行った老人ホームからの帰り道、シャンと肩を並べて船を待つアーシーの後ろ姿に人生の「安居」はどこにあるのかなと考えさせられます。

もう少ししたら、ここ「シネ・ヌーヴォー」で「中国映画祭」が始まります。興味のある方はどうぞ。カネシロ・タケシの全作品も観れるし、レスリーやトニー・レオンなんかの香港映画もやります。私の個人的なお薦めは「初恋」。主演はカネシロ・タケシとリー・ウェイウェイちゃん。ストーリーは複雑怪奇で一言では説明できませんが、見どころはリー・ウェイウェイちゃんがむちゃくちゃかわいいことですね。楽しみです。
中国の映画(普通話でやるやつ)を観ていると、途中でところどころ意味が判る箇所があるのね、そうすると観終わった後で「自分は中国語なんかべらべらや」って錯覚するところが少し、嬉しくて、悲しいのです。あぁ、中国へ行きたい!それではまたね。

おしまい。