「季節の中で」

ホーチミンの夜をオムニバスで綴る


  

ゴルフをする人は嫌だなぁ、と思う今日この頃ですがいかがお過ごしですか?
昨日はバレンタインデーということもあってか、夕方から夜の梅田ではやたらにベタベタしたカップルが目につきましたが、皆様の周りではいかがだったでしょうか?
白瀬さんはインド人の彼氏にチョコレートを渡したんでしょうか?
ごっついしんどかった「東六甲縦走コース」以来、山歩きはしばらくお休みです。釣りはこの13日に行って来ましたが、先日の冷え込みの余波で釣果はさっぱりでした。

さて、今回は「季節の中で」。アメリカ製作だけどベトナム語で撮られています。「クンドゥン」もチベット語で撮ればよかったのに。ベトナム語はどことなく中国語やハングルに似てますね。会場は梅田の「ガーデンシネマ」。今週一杯でオシマイというせいか、バレンタインのせいか分からないけど、総勢10名という寂しい入り。しかも、途中で出たり入ったりと人数が少ない割に騒がしい上映でした。

舞台はホーチミン。言葉を聞かなければ、中国の広州や南寧と言われても分からないほど街の雰囲気は似ています。客を乗せて運ぶ自転車・シクロ、シクロの運転手と高級娼婦。ガムやタバコを夜な夜な売り歩くストリートボーイ。ベトナム戦争の当時海兵隊員でベトナム女性との間にできた娘を捜しに来たアメリカ人。そして、沼に咲く美しい蓮の華を摘んで街に売りに来る若い女。この主人公達がそれぞれの季節を懸命に生きていく姿が、淡々と描かれます。
早朝、大きな屋敷の敷地の中にある沼に手漕ぎの小さな船で蓮の華を摘みに行く女達。沼一面に広がる蓮の葉と華。綺麗すぎて息を飲むくらいです、まるで幻想の世界のようです。華を摘む女達の少し悲しげな歌声がなんとなく耳に残ります。街に蓮の華を売りに行くのだけど、最近売れ行きが良くないみたい、実は街ではハスの花の造花が売られ始めているのに気が付く。「最近は何でも便利なものに走る風潮がある。そんなのはいやだ、本物の蓮の華を売ってくれないか」とシクロマンに励まされる。
高級娼婦に恋をするシクロマン。なんかストーカーみたいにも見える。「ホテルに泊まったことある?あそこの世界は別世界よ。住む人種が違う。話し方も、歩き方も。太陽に祝福された人たちが住んでいるの。私たちは影の世界に住んでいるのよ。この街にホテルが建つごとに影の世界が大きくなっていくのよ」と娼婦に言われる。
ほぼラストのシーンでこのシクロマンと目隠しされて白いアオザイを来た娼婦がシクロに載って並木道にやってくるのね。シクロから降りて目隠しを取られるとそこには真っ赤な燃えるような火炎樹。真っ赤な華(?、葉っぱ?)が次々に道に舞い落ちる。主人公たちは一応幸せな結末を迎えるのでした。

なんか。大人のムードが漂う良い映画でした。戦争の功罪を語ることもなく、今のベトナムを素直に受けとめて、自分を見失わず、懸命に生きていく姿に好感が持てます。蓮の華と火炎樹を見にホーチミンへ行きたくなります。途中、シクロマンが街角で仲間と客待ちしながら、ローカルの飲み物を飲んでいるのね、そしてキャメラが二人からスーっと引いていくと二人の後ろにあったのは巨大なコカコーラの看板だった、というのは何か今のベトナムを象徴しているようですね。

ガーデンシネマで2月18日(金)まで。

おしまい。